鳥取県の郷土料理小豆雑煮とは?

小豆雑煮の主な伝承地域は、鳥取県の東部・中部地域になります。使用する主な食材は、丸餅、小豆になります。

お正月に食べられる雑煮は、地域ごとに異なる特色を持っています。

鳥取県では、特に小豆の煮汁を使った丸餅入りの雑煮が一般的です。

煮汁の量は家庭によって異なり、たっぷりの煮汁に浸したものから、小豆をふんだんに使い煮汁が少ないタイプまでさまざま。

甘く味付けされたものが多いですが、少数ながら塩味のものも存在します。

昔は小豆を塩で煮たものが主流でしたが、現在では砂糖を加えるのが一般的です。ただし、県全域でこの小豆雑煮が食べられているわけではなく、山間部では醤油味や味噌味の雑煮もよく見られます。

「小豆雑煮」の正確な起源は不明ですが、小豆の赤色には古くから厄除けの力があるとされ、特別な日の食材として利用されてきました。雑煮は、元旦の朝に汲んだ若水を使い、清めた火で煮た一品。これを家族で分け合い、結束を強めるための重要な正月料理として定着しています。

元旦の朝に、おせち料理と一緒に食べられるのが一般的です。

おせちの塩味と小豆雑煮の甘みのバランスが絶妙で、小豆は祝い事に欠かせない食材として古くから使われてきました。新年を迎えるにあたり、栄養豊富な小豆を使った雑煮を食べ、祝う風習が続いています。

小豆雑煮は、他の地域で「ぜんざい」や「しるこ」と似たものです。

小豆をアク抜きし、柔らかくなるまで煮てから砂糖で味付けを行います。別の鍋で煮た丸餅を小豆汁に入れて完成します。家庭や地域によって微妙に異なる部分はありますが、丸餅が使われるのが一般的です。中部地域の三朝町では、とちの実を使った餅を入れることもあります。

小豆雑煮の作り方と材料

材料(4人分)

丸餅:4個
小豆:1/2カップ
砂糖:60g
塩:少々

作り方

1:小豆をたっぷりの水に入れ、沸騰したら水を捨ててアクを抜く。この工程を2回繰り返す。その後、新しい水2カップを加え、小豆が柔らかくなるまで煮る。

2:砂糖を加えて、7~8分程度さらに煮込み、味を染み込ませる。お好みで少量の塩を加えると風味が引き立つ。

3:別の鍋で丸餅を柔らかくなるまで茹で、2で作った小豆汁に入れる。

※地域や家庭によって、レシピは異なる場合があります。

小豆雑煮の歴史について紹介

小豆雑煮は、鳥取県や島根県をはじめとする地域で親しまれている郷土料理で、小豆を煮た汁に餅を入れる雑煮です。

見た目はぜんざいや汁粉に似ていますが、小豆雑煮はそれらに比べて甘さが控えめです。

特に、鳥取県の小豆雑煮はぜんざいに近い味わいが特徴です。最近では、小豆雑煮の甘みも強くなり、ぜんざいとの違いがほとんどなくなりつつあります。材料や作り方も類似しており、家ごとのアレンジが存在します。

小豆が使われ始めた理由についてははっきりしていませんが、小豆の赤色には古来より厄を払う力があると信じられていたことが背景にあると考えられています。

島根県の出雲地方では、旧暦10月の「神在月」に行われる「神在祭」で、神々を迎える行事に「神在餅」という名の小豆雑煮が振る舞われていました。この「神在餅」が「ぜんざい」の語源であるという説もあります。

また、鳥取県や島根県以外にも、京都府北部の丹後地方や岡山県の一部でも小豆雑煮が食されています。

鳥取県での食文化

鳥取県では、小豆雑煮に丸餅を使うのが一般的です。三朝町では「栃餅」を使用する習慣もあります。小豆の煮汁が多いものや、小豆が多くて煮汁が少ないもの、または砂糖で甘くする代わりに塩味で作るものなど、バリエーションも豊富です。

大山山麓の地域では、正月の三が日を通して小豆雑煮を食べる家庭もありますが、元旦のみ小豆雑煮を食べ、2日目以降は別の雑煮を楽しむ地域もあります。また、山間部では小豆雑煮の代わりに醤油や味噌ベースの雑煮が主流となっています。

江戸時代後期、鳥取地方の大庄屋が残した記録には、元旦の朝に小豆雑煮を食べていたと記されており、遅くともこの時代には小豆雑煮が食べられていたことが分かっていますが、いつから始まったかは定かではありません。

島根県での習慣

島根県でも小豆雑煮は丸餅を使うのが一般的で、特に松江市や出雲市で広く食されています。地域によっては、元旦にはすまし汁の雑煮を食べ、2日目から小豆雑煮を楽しむ家庭もあります。

また、出雲地方では、神々が集まる旧暦10月に小豆雑煮が「神在餅」として提供される行事があります。

島根県の東部と隠岐諸島では、すまし汁の雑煮に花かつおや特製の岩海苔を載せます。県西部では、黒豆を添えた雑煮が主流で、山間部では豆腐やコンニャク、カブなどを入れた具だくさんの雑煮が特徴です。

まとめ

小豆雑煮(あずきぞうに)は、日本の一部地域、特に鳥取県や島根県で伝統的に食べられている雑煮の一種です。

通常のお雑煮とは異なり、小豆を煮て作った汁に餅を入れるのが特徴です。小豆の赤色が邪気を払う力があると信じられ、古来より正月や神聖な行事の食べ物として親しまれてきました。

鳥取県では、主に丸餅を使用しますが、中には栃餅を入れる地域もあります。また、煮汁が多いタイプや、小豆が多く煮汁が少ないタイプなど、さまざまなスタイルがあります。少数ではありますが、甘味ではなく塩味で作られるものも存在します。

島根県では、小豆雑煮が神事とも関わりがあり、特に出雲地方では「神在餅」として小豆雑煮が神事で振る舞われる伝統があります。

小豆は古くから祝い事に使われ、正月料理としても取り入れられてきました。

江戸時代の記録にも、鳥取地方で正月に小豆雑煮を食べたという記述が残っています。また、出雲地方では、神在月(全国の神々が集まる旧暦10月)に「神在餅」として小豆雑煮が振る舞われていたことが、ぜんざいの語源になったとも言われています。

地域や家庭ごとに作り方や味付けが異なり、甘さや塩味、餅の種類などのバリエーションが存在するのも小豆雑煮の魅力の一つです。