かきの土手鍋の伝承地域は、広島県広島市、呉市、江田島、宮島、音戸地域などになります。主な材料として、かき、豆腐、赤みそ、白みそ、しいたけ、えのき、にんじん、春菊、ねぎ、糸こんにゃくがあります。
「かきの土手鍋」という名称にはいくつかの説があります。
一つは、鍋の内側に味噌を土手のように塗る調理法に由来するとされるもの。
もう一つは、この料理を発案した「土手長吉」という人物の名前に由来する説。
そして最後に、江戸時代に広島産のかきを運搬していたかき船で、土手のような場所で提供された料理だったからといわれています。
鍋のふちに塗った味噌を少しずつ溶かしながら味を調えるスタイルが特徴です。
広島県は国内最大のかき生産地であり、全国生産量の半数以上を占めています(令和2年「漁業・養殖業生産統計」より)。広島のかき文化は古代から存在し、貝塚から出土した殻から縄文・弥生時代に既に食されていたことが分かっています。さらに、1500~1600年代には養殖も始まったと考えられています。
広島湾は波が穏やかで潮の流れが適度にあり、河川からの栄養が豊富に流れ込むことで、かきの生育に最適な条件が整っています。この地域で育てられるかきは、身が大きく濃厚な味わいが特徴です。また、食品衛生に関する独自の条例が定められており、安全性の高さも支持されています。
かきの旬は1月から2月。この時期に家庭や飲食店で楽しまれる冬の定番料理であり、観光客からも人気です。
かきの土手鍋の食べ方の特徴として、赤みそ、白みそ、酒、みりん、砂糖を混ぜたものを土鍋のふちに塗り、味噌の「土手」を作ります。
白菜の芯を敷いて焦げ付きを防ぎ、しいたけやえのき、糸こんにゃく、豆腐などを加え、最後にかきを乗せて火にかけます。だし汁を注ぎながら、味噌を溶かして好みの味に仕上げます。この料理は、殻焼きやフライなどと並ぶ、かき料理の代表的な一品です。
冬の味覚として地元の飲食店で提供されるほか、「広島名物を楽しもう」というキャンペーンや試食イベントが行われています。また、「かきの土手鍋の素」が商品化され、家庭でも簡単に調理できるようになりました。学校給食にも取り入れられ、子どもたちに地元の食文化を伝える役割を担っています。
かきの土手鍋の材料とレシピ
材料(4人分)
かき:300g
豆腐:1丁
しいたけ:4枚
えのき:1袋
にんじん:1/3本
春菊:1袋
白菜:1/4株
白ねぎ:2本
糸こんにゃく:1袋
だし汁:適量
調味料
赤みそ:100g
白みそ:100g
酒:小さじ1
みりん:小さじ1
砂糖:小さじ1
作り方
1:かきの下処理
かきを薄い塩水でやさしく洗い、水を替えてすすいで水気を切る。
2:野菜と具材の準備
白ねぎは斜めに切る。春菊と白菜は3cmの長さに切る。
しいたけは石づきを取り、飾り切りを施す。
糸こんにゃくは食べやすい長さに切る。
にんじんは花型に抜いて軽く茹でる。
えのきは根元を切り落とし、適当な長さに分ける。
豆腐は一口大に切る。
3:味噌の準備
調味料をすべて混ぜ合わせ、土鍋のふちに「土手」の形に塗りつける。
4:鍋の仕上げ
土鍋の底に白菜の芯を敷き、他の具材を彩りよく並べる。中央にかきを置き、だし汁を注ぐ。
鍋を火にかけ、煮立ったら土手状の味噌を少しずつ溶かしながら味を調整していただく。
彩り豊かな具材と、味噌の濃厚な風味が楽しめる冬にぴったりの一品です。
牡蠣について紹介
牡蠣(かき)は「海のミルク」と呼ばれるほど栄養価が高く、その健康や美容への効果が注目されています。
健康への影響
免疫力向上
亜鉛を豊富に含み、免疫細胞の生成や機能をサポートします。不足すると感染症にかかりやすくなるため、特に冬場の健康維持に役立ちます。
貧血予防
鉄分やビタミンB12が豊富で、赤血球の生成を助け、貧血を予防します。
心血管の健康
タウリンがコレステロール値を調節し、血圧を下げる働きを持っています。動脈硬化や高血圧の予防に寄与します。
骨の健康
カルシウムやビタミンDを含み、骨の強化や骨粗しょう症の予防に役立ちます。
疲労回復
タウリンが肝機能をサポートし、疲労回復や解毒作用を促進します。
美容への影響
肌の健康維持
ビタミンB群や亜鉛が肌細胞の再生を助け、肌のハリやツヤを保ちます。
抗酸化作用のあるセレンが、老化の原因となる酸化ストレスを軽減します。
美髪効果
亜鉛が髪の毛の成長を促し、抜け毛や薄毛を予防します。
代謝促進
ビタミンB群が脂質や糖質、タンパク質の代謝を促し、体内のエネルギー効率を向上させます。
むくみの解消
タウリンの利尿作用により、体内の余分な水分を排出し、むくみを軽減します。
注意点
牡蠣は食中毒の原因となるノロウイルスに感染するリスクがあるため、生で食べる際は新鮮さと衛生管理に注意してください。
亜鉛や鉄分を多く含むため、過剰摂取はバランスを崩す原因になります。適量を守りましょう。
牡蠣は健康と美容を同時にサポートする優れた食品ですが、安全に楽しむための適切な調理と保存が重要です。
まとめ
広島県の郷土料理「かきの土手鍋」は、冬の味覚として広く愛される鍋料理です。名前の由来は、鍋の内側に味噌を土手のように塗ることから来ています。この味噌を少しずつ溶かしながら味を調整する独特の食べ方が特徴です。
主な具材には、広島特産の新鮮な牡蠣、豆腐、白菜、春菊、しいたけ、えのき、にんじん、糸こんにゃくなどが使われます。味付けには赤味噌と白味噌をベースに、酒やみりん、砂糖を加えた濃厚なスープが使用されます。鍋の底には白菜の芯を敷き、焦げ付きを防ぎつつ風味を引き立てます。
広島は全国有数の牡蠣の産地で、穏やかな波と豊富な栄養を含む海域が育む牡蠣は、身が大きく濃厚な味わいが特徴です。この料理は、地元では家庭や飲食店で親しまれるほか、観光客にも人気があり、冬の広島を代表するグルメとして知られています。また、学校給食にも取り入れられるなど、郷土料理としての継承活動も行われています。